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スクエアダンスの新世紀=輪と和を広げよう!!


法人化検討委員会委員長 沖吉 和祐

S協は、平成13年末、永年の目標であった会員1万人を達成しました。会員1万人を擁する団体として、地域社会における役割・責任や、地域社会からS協(会員)に対する期待・関心ということを考慮し、しっかりとした組織体制について考えることが必要な時期になっています。
 S協では、平成13年初めから法人化について研究会を重ね、平成14年1月の理事会で法人化の方針が了承されました。同年6月の総会で「S協の法人化」を決定、8月岡山で開かれた理事会で「法人化の趣意書」が採択されました。
 以来、法人化検討委員会を中心に法人化の準備を進めており、また、各支部の幹事会や総会の機会をとらえて法人化についての勉強会が重ねられてきました。そうした場で、会員の皆さんから色々なお尋ねや地域の実情をお聞かせいただきました。
 これから、S協の組織の整備(法人化)を図り、スクエアダンスの輪と和を拡げていく(地域に普及していく)うえで、私たち会員の共通した理解と、みんなが一緒になって取り組んでいこうという気持ちがとても大切になります。
 ここで、これまで会員の皆さんから寄せられたご質問やご意見を踏まえ、スクエアダンスを普及するための「法人化」について、「Q&A」の形でご説明させていただきます。

Q1: S協の法人化が進められています。その趣旨(スクエアダンスはどんなものか、S協の概要、スクエアダンスの意義、今後の展望等)みんなに分かり易く説明したいと思うのですが、いかがでしょうか。
A1: では、S協を法人化する趣旨を整理してお示しします。会員の皆さん同士で話し合ったり、また、地域の方々に説明される折の参考にして下さい。
1.  スクエアダンスは、ヨーロッパの民族舞踊や宮廷舞踊の流れの下、17世紀にヨーロッパからアメリカへ移住した人々により踊り始められたダンスを原型として発展してきたフォークダンスのひとつです。カントリーウェスタン風の音楽に合わせて、4組のカップルが四角の辺に立って踊り始めることから、スクエアダンスと呼ばれています。
 わが国には、第2次世界大戦後、アメリカの駐留将兵とその家族により紹介され、普及してきました。
2.  日本スクエアダンス協会は、社会体育及びレクリエーションとしてスクエアダンスを広く普及振興することを目的とした、スクエアダンスの愛好者を構成員とする団体です。昭和41年に設置された日本スクエアダンス指導者連絡協議会を発展的に解消し、三笠宮殿下を総裁に戴き、昭和55年に設立されました。
 平成17年7月1日現在、全国に400余のクラブが存在し、 約12,500人の愛好者が日本スクエアダンス協会の会員として登録しています。 現在も、毎年約2千人が初心者講習会を受講しています。
3.  スクエアダンスが社会に広く普及してきた理由として
(1) 性別、職業、人種、地域等の区別なく誰でも気軽に参加できること。特に、夫婦、親子、兄弟姉妹など家族での参加ができること。
(2) 激しい動きを伴わず、歩くことを基本にレクリエーション的な要素を有し、楽しみながら健康の維持・向上が図れること
(3) 年齢、体力、技術に応じて、多様なダンスのプログラムが自由に選べること
(4) 研修プログラムが準備されており、愛好者の意欲、興味、関心に応じて、クラブのリーダー、スタッフ、技術指導者として活躍する道が開かれていること
(5) 努力して上達することにより、他の人に楽しさを伝える喜びが得られること
などがあげられます。
4.  これからのスクエアダンスの目指すべき途として、私たちは、
(1) スクエアダンスを通じて、年齢、性、地域を超えた交流を深めること
(2) 高齢者、障害者が気軽に参加できる優しいダンスへの発展に努めること
(3) 学校への普及を通して、男女、学年、教員・児童生徒等の間の自然な交流に寄与すること
(4) 夫婦、親子、兄弟姉妹で参加できるスクエアダンスの特徴を生かし、豊かな家庭生活の実現に協力すること
(5) 世界共通の技術用語(英語)を用いて踊る利点を生かし、ダンスを通じた国際理解・国際協力の推進を目指すこと
などを掲げており、スクエアダンスを普及することを通して、国民の健康の増進と生涯スポーツ・レクリエーションの振興に努め、様々な人が共生・共立する社会の実現に寄与したいと希望しています。
 そのためには、現在の日本スクエアダンス協会が、関係団体と連携・協力しながら、文部科学省のご指導の下、より安定し、かつ継続性を有する組織となることが不可欠であると考え、社団法人設立の認可申請することを決意しました。
Q2: S協が社団法人として認可された場合、日連との関係はどうなるのでしょうか。
A2: S協は、平成17年6月に開催された総会において新たに定款を制定し、社団法人として認可されることを念頭においた新しい組織として再スタートしました。
 新しいS協は、「スクエアダンスなど5つの部門を含むフォークダンス全体を統括しその普及・振興を図る日連の役割を踏まえながら、フォークダンスの1部門であるスクエアダンスの普及・振興の役割を責任もって担当する」ことといたします。
 また、「スクエアダンスの活動にあたり問題が生じた場合には、スクエアダンスを普及・振興を担う団体であるS協において、責任もってその解決にあたる」ことといたします。
 さらに、「スクエアダンスの部門を超えフォークダンス全体として解決しなければならない問題が生じた場合には、日連に調整をお願いする」ことといたしたいと思います。
 従来から、日連及びS協は、相互に共催、後援などの協力をしてきましたが、今後も、この協力関係はいささかも変わりません。
Q3: 「法人化された場合には、S協は日連から独立する」、「日連と決別する」という話を聞いたのですが、いかがですか。
A3: S協は、昭和41年に設立された「日本スクエアダンス指導者連絡協議会」を発展的に解消し、昭和55年に発足した団体で、従来から、日連とは独立した団体でした。これまでも、S協として様々な事業を展開してきたわけで、「法人化に伴い日連から独立する」という話は、何かの誤解に基づくものと思われます。
 また、「法人化を機会に日連と決別する」ということもありません。日連においてもスクエアダンスに関する事業は継続されます。日連が主催するスクエアダンスやラウンドダンスの講習会や公認指導者研修会の開催や出版物の改定等に当たっては、S協は、引き続き協力してまいります。このことは、日連からも協力を要請されています。また、S協が行う様々な事業に対しても、日連の協力をいただくことを希望しています。
 それぞれの活動を円滑、効果的に進めるためには、連携・協力が不可欠です。それぞれの役割、事業に対する協力のあり方について話し合いを行い、相互の理解を深め、これまでの連携・協力関係を維持し、さらに緊密にしていきたいと考えています。
Q4: 日連○○県支部(あるいは「○○県FD連盟」などFDの県レベルの団体。以下「F県連」という)とはどのような関係になるのでしょうか。
A4: 日連の関係者の一部に「S協が社団法人になった場合S協が日連から独立して両者の関係が悪くなるのではないか」と心配されたり、不安を持っておられたりする方がいるように聞いています。S協では、社団法人となることにより、日連とS協の県レベルでの関係が円滑になる、現状よりずっと改善されることを望んで、法人化の準備を進めています(「法人化の話が出て来たことにより、スクエアダンス関係者から協力が得られなくなった」と話す日連の方がおられましたが、調査の結果、誤解や意見の行き違い、話し合いの不足によるもので、両関係者とも協力を阻んでいるものではなく、「これからも協力していきたい」、「もっと話し合っていきたい」との希望が明らかにされています)。
 既に県連が整備されている東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県など首都圏では、県連の会長等の役員が、F県連の会長や副会長などの役員についており、両者の関係は円滑です。相互に行事や事業の実施に当たっても積極的な協力が行われています。
 今後、県レベルにおいても、「フォークダンスの1部門であるスクエアダンス」を普及・振興するということを念頭において、日頃からF県連との連携・協力に努めていただきたいと希望しています。例えば、
(1) 日頃から機会をとらえてF県連関係者と連絡しあう。
(2) F県連の行事や事業に、できるだけ多くのS協会員が参加する。
(3) 県連の行事、事業の案内を出し、F県連関係者に参加してもらうよう働きかける。
(4) 技術指導者は、できるだけ日連の資格検定を受けるよう奨励する。
などの取り組みが考えられます。
Q5: 日連の資格検定を引き続き活用するように聞いていますが、法人化を機会に独自の資格制度を立ち上げることは考えられないのでしょうか。
A5: これまで、コンベンションにおけるコーラーの選定などにあたり、技術レベルを測るひとつの基準として日連の資格検定(級)が用いられてきました。その継続性を保つ(混乱を避ける)観点などから、引き続き日連の資格検定を活用させていただきたいと考えています(この点は、日連関係者と話し合いをしています)。
 S協としては、今後、クラブを運営するリーダーやスタッフの育成が必要であり、また、生涯スポーツ・レクリエーションを支える愛好者ひとり一人の資質向上を図ることが、スクエアダンスの普及に不可欠であると考えています。現在こうした人材を育成するために必要なプログラムやテキストを作成しており、近く完成します。新しいS協の行動計画には、すべての会員が、このような研修に参加できる機会を準備することが盛り込まれています。研修を受けたことに対する認定のあり方等については、人材育成委員会において検討することといたしております。また、こうした計画を進めるためには、それを支える体制の整備が今後の大きな課題です。
 なお、コンベンションのコーラー選定基準は時代の変化にあわせて改正されてきました。今後も、状況を見極めながら、適宜見直しを行い、リーダー、スタッフ、コーラー等の指導者はじめ愛好者全体の資質の向上に努めて参ります。
Q6: 法人化が良い(必要)ということは分かるのですが、日々の活動にどのように反映されるのでしょうか。
A6: まず、S協が社会的に「人格」をもつ組織として認められる、あるいは、生涯スポーツ・レクリエーションを担う団体として「社会的に認知」されるということの意義を考えてみましょう。社会的に「人格」を認められるということは、地域住民が安心してS活動に参加していただけるということになります。その一方で、義務や責任が求められ、社会的な貢献をすることが要請されます。
 このようにいうと、一見煩わしい、大変なことになると感じられる方もおられるかもかも知れません。しかし、それは同時に、スクエアダンスが「社会から必要とされる存在」、「期待される存在」となることでもあります。皆さんも日常の生活を思い浮かべてください。身近では家庭で、町内会や子供の通う通う学校の役員会で、また、同窓会や会社の中で、何か役割を与えられ、自分の存在が周りから期待され、それに応えていく。このことが、あなたにとって大きな喜びとなり、生きがいを感じられた経験をお持ちではないでしょうか。法人格をもつ団体の一員になることにより、あなたの生活に「はり」ができるかも知れません。
 次に、クラブのリーダーやスタッフの意識の改善です。 法人化の話が出てきたことにより、あなたのクラブでも活動の在り方について考える機会が生まれたのではないでしょうか。これまで地域の人に知られていなかったスクエアダンスをどのように知ってもらうか、初心者講習会の宣伝をどのようにするかを考えたり、講習の進め方について工夫されたりしておられることと思います。
 また、こうした取り組みについてみんなで情報を共有する、クラブ運営の透明性を高めていくなどの努力がされていることと思います。このような取り組みがクラブの活性化につながっていくことになるでしょう。
 日々の活動の変化は、法人化によってS協から与えられるものではなく、内部から自ずと生まれてくるのではないでしょうか。
Q8: 所管庁への報告、広報活動など役員の仕事が増えるのではないですか。
A8: ご質問のとおり、法人化されると法令で定められた届出や報告、税制上の処理など、どうしても必要となる業務が出てきます。また、広報や情報提供なども今まで以上に充実することが必要になります。
 S協では、事務局長のほか、事務職員の配置など事務体制を整えるととともに、定期的に事務局で勤務できる理事を置くなどの方策を検討しています。また、S協にはスクエアダンス以外の特別の専門知識や技術をお持ちの方がたくさんいらっしゃいます。
 こうした方に参加・協力いただく仕組みを検討してまいりたいと思っています。なお、「世代交代」が円滑に進められるよう、若手人材の登用やワーク・マニュアルづくりなど後継者を育てる方策について検討して参ります。
Q9: S協が法人化されると、具体的にどのようなメリットが生まれるのでしょうか。
A9: まず、法人化することは、それ自体が目的ではなく、スクエアダンスを普及し愛好者が増えることにより、会員ひとり一人の楽しさや健康、生きがいが大きくなるためのひとつのプロセスであることをご理解ください。
 法人化により目にみえるいくつかの効果の例があります。それを紹介しましょう。
(1) 会場の確保:例会、アニバーサリー、ジャンボリーの会場とりに苦労された方は多いと思います。東京体育館の利用状況を見ると、ほとんどが地方公共団体、学校、各種の体育協会など公益性の高い団体で占められています。会場の確保にあたって、社団法人などの公益性の高い団体として認められていることにより容易になることがあります。各クラブ会場とりにあたっても、社団法人である組織の会員であることが良い方向に働くことでしょう。
(2) 活動の助成:地方公共団体にとって、生涯スポーツ・レクリエーションの普及は大きな政策課題になっています。こうした団体への助成も行われています。しかし、助成の対象を、社会的に認知された団体に限定することが多くなっています。皆さんのクラブや県連の中には、日本レクリエーション協会の支部の活動に参加し、助成金をいただいた経験をお持ちの方もあると思います。S協が社団法人として認可され、日本レクリエーション協会の構成員となることにより、組織として助成金を受けやすくなることも考えられます。
(3) 市町村の後援:初心者講習会やアニバーサリーにあたって、市町村の後援を受けているクラブがある一方、後援を受けられなかったクラブも多いと思われます。法人格をえることにより、社会的に認知された組織の構成クラブとして、後援等の協力を得られやすくなります。市町村の広報への掲載も容易になると考えられます。
(4) 税制上の優遇:最近は、S協のような規模の団体に対して課税する方向にあり、任意団体ですと、株式会社と同じような課税が行われる可能性があります。社団法人に認可されることにより、税制上の優遇措置を受けることが可能となります。このまま放置しておくと会費にも課税され、実際の活動に使える財源が大きく目減りする危険があります。会費を有効に使うためにも、法人格を得ることが必要です。
(5) 著作権対策:避けて通れない大きな課題として、音楽著作権の問題があります。既にパーティにおいて日本音楽著作権協会の県支部から著作権料を徴収された例があります。参加費等をとるパーティ等においては、著作権法の定めに応じて著作権料を支払うのが通常で、今後、この徴収が強化されると思われます。各クラブ、各県連・支部ごとに対応すると、地域によって扱いが異なり不利な徴収を受けることも考えられます。法人格をもつ組織同士(日本著作権協会とS協)で全国的な扱いについて協定を締結し、地域によって不平等が生じないよう、全国統一的なルールを作ることが必要です。音楽著作権料をS協がまとめて音楽著作権協会に払うことにより、著作権料の負担が軽減されるというメリットが生まれる可能性があります。
これらは、法人化に伴うメリットの一例ですが、最大の意義は、スクエアダンスの普及という社会的役割の一翼をひとり一人の会員が担うことから生まれる(自分の身に返ってくる)様々な効果ではないかと思います。
Q10: S協の事業の拡充に伴って財源の確保が不可欠と思いますが、会費の見直しはどのようになっているのでしょうか。
A10: S協では、直ちに会費の値上げを行う必要はないと考えていますが、法人として活動していくに当たり、今後、スクエアダンスについての国民への普及・広報などの活動や会員へのサービスの向上、愛好者の資質向上とその質の管理などが必要になります。透明性と公益性を考えた事業の遂行、会計処理や税務処理、それを支える事務体制の整備などに必要な経費は増加していきます。
 そのため、経費の節減、合理化は当然ですが、併せて、事業の実施に必要な経費の徴収、出版物の頒布(販売)、機関紙の広告料、寄付金など多様な財源の確保方策を検討することとしています。このような検討の一環として、会員数の推移、支部への交付金の額、会員サービスの拡充などを総合的に勘案して、会費の見直しを検討することとしています。
 会費の値上げが必要な時期がきた場合には、その理由を会員の皆様にお知らせし、ご理解を得て実施することといたします。
Q11: クラブ数や会員数の増加に伴い、色々な問題も生じると思います。会員としてのモラルの維持、個人情報の保護について、どのように対応する考えでしょうか。
A11: 今後、スクエアダンスの関わる問題の解決は、S協が責任をもって当たることとなります。そこで何か問題が生じた場合には、まず、総務委員会がその解決にあたることといたします。総務委員会において、ケースに応じて、関係者、県連、支部の意見をお聞きし、また、関係する機関(都道府県や市町村、日レクや日連など関係団体)の指導をいただきながら解決に努めてまいります。
 会員ひとり一人のモラルを高めるため、日連が設けている「フォークダンス綱領」のような指針や倫理規定を近くお示ししたいと考えています。
 問題となりそうな案件として、パーティのゲストや講習会の講師の依頼に関係する例があります。こうしたことを引き受ける場合には、予め所属長に届を出し、謝礼をもらった場合の届け出や税の申告を、法令等にしたがって実行することにより、安心して、また自信を持って講師等の任務を果たすことができます。人から非難されることのないよう、また、活動が適正であることを説明できるよう、社会で定められたルールやモラル、常識に従うことが大切です。
 また、スクエアダンスは多くのダンサーと踊りますから、相手に不快な思いをさせることのないよう、服装や言葉、行動にも注意を払い、みんなで楽しく踊るよう、日頃から心がけましょう。
 スクエアダンスについて社会の理解や協力を得るため、これからも積極的に広報するなど情報の公開が大切になりますが、その一方で、個人情報を適切・確実に保護することが求められます。S協では、個人情報の扱いについては特別の規定を設け、個人情報が外部に流出しないよう、その保護に万全を期しているところです。

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